自閉症を相談できる初めての人

2016年7月に遂に自閉症と診断された娘。

パパママは翌々月から、個別勉強会を通じて自閉症との付き合い方を学び始めます。

この勉強会で得たものは、自閉症の知識以上にとても重要なことでした。

それは自閉症を誤解なく相談できる相手です。

臨床心理士との勉強会

前回の自閉症と宣告を受けた診断の後、参加を促された自閉症の合同勉強会は子連れで参加できないため、個別での勉強会を提案してくれました。

2016年9月、パパとママ、そして弟くんの三人は、娘を幼稚園に送った後、療育センターへ向かいます。

普段幼稚園へ送る車に乗っていないはずのパパが乗っていたので、外食と勘違いした娘を幼稚園で引き離すのは苦労しましたが、なんとか遅刻せずに到着できました。

待ってくれていたのは、臨床心理士のA先生(仮名)。

50代前後の中年女性です。

佇まいや落ち着いた言動、弟くんに軽く送る微笑みなど、ベテランだなぁと一目でわかる雰囲気を持っています。

娘が診察を受けた部屋と似たような部屋へ案内されます。

部屋には、無数のおもちゃが設置されており、弟くんは目を輝かせていました。

これは助かりましたね。

弟くんは娘と違って人見知りがちで、走り回る逃げ回るなんて事はないのですが、その代わりにずっと抱っこを要求してきます。

しかし、今回は部屋のおもちゃに一目散。

しばらくの間、A先生の話に集中することができる環境が整いました。

寂しくなっても娘と違って大騒ぎしません。

しくしく細く声で泣くタイプです。

1時間を泣く前に乗り越えられると良いのですが。

まず、複数ページの自閉症についての資料と、テンプル・グランディンさんと言う方の雑誌記事のコピーを渡されました。

臨床心理士
結構ボリュームがあるので、今回1時間でやれるところまでやってみて、残ったらもう一回来て頂きたいですけど良いですか?
パパ
問題ありません。よろしくお願いします

ペラペラと資料の概要を確認すると、結構項目が多くてボリュームがありそうです。

娘のためにも、自分のイメージを悪くしない意味でも、居眠りだけは絶対にしないと心に決めました。

以下は、今回の勉強会で学んだことです。

自閉症についての誤解

まず学んだことが、自閉症に対する正しい理解をしていこうというもの。

自閉症は、近年その診断を受ける人が激増しているそうなのですが、これは診断方法の精度が上がった事や、自閉症スペクトラム障害の定義が変わったことで、それまで気付かれなかった自閉症の人が見つかりやすくなったことに起因するとの事。

つまり、自閉症患者が増えたのではなくて、昔から今と同じくらいいたけど見つかっていなかっただけと。

自閉症は、80人~100人に一人の確率で発症する障害だそうです。

ごく軽度の自閉症を含めると10人に一人とも言われています。

とても身近な障害と言えるでしょう。

また、それほど昔ではない時期、医療の現場では自閉症の原因について子育ての過程に原因があるとされた時代があったそうです。

驚きだったのは、その時代でも既に自閉症は先天性の障害との医学的な発表が成されていたそうで、にも拘らず見当違いな子育ての改善を指導していたと考えると、結構怖い話ですね。

(それほどではない昔って、10年前とかの話なんですって)

医学的に精度の高い研究が発表されても、医療現場に浸透するまでは年単位の時間がかかると言うことなのでしょうね。

家族の養育態度や接し方についての誤解

自閉症は子育ての過程に原因があるとされていた時代の名残か、自閉症をしつけの問題と捉える人が今でも多いとの事です。

子供が自閉症だと発覚すると、子育てを担当する母親が周囲から酷く叱責されるケースも多数あったそうです。

正しい認識は、自閉症は先天性であり、原因ははっきりとは判明していないということ。

そして、そもそも脳の作りが多くの人は違うということ。

この認識は、パパママにとっても救いでした。

我が子を子育ての悪さで自閉症にしてしまったのではないとはっきり理解することができましたから。

言葉をどうやって教えていくか

そして、後に深堀する言葉の指導の基礎についても概要を教えてもらいました。

要点は、自閉症の子に形のない表現をしても極めて伝わりにくいと言うこと。

  • 悲しい、嬉しい、寂しいなどの感情を表現する言葉の理解は難しい。
  • ひとつの物を表現する言葉はひとつ(例:豆腐はどの料理で見ても豆腐。冷ややっことは言わない)。
  • なので、言葉で何かを伝えたいときは、単語を少なくしてとにかく分かりやすく。

    命令口調のようになってしまいますが、結果的にそれが一番効率が良いとの事。


    ×「ご飯食べてくれないとママ悲しいなぁ」
    ○「ハンバーグ食べなさい。味噌汁飲みなさい」

    溢れ出る母親の気持ち

    ここまでをテキストを見ながら進めていたところで、ママが口を開きます。

    ママ
    悲しいとか、怒るよとか、沢山言ってきたけど本当に言葉の意味が分かってなかったんだ・・・
    臨床心理士
    そうですね。娘ちゃんとしては何を言っているか意味不明だったと思います

    パパもママもグサッときました。

    悪さをして叱ってもヘラヘラしていた娘。

    やらかした悪さの度合いによっては、手をだすこともありました。

    叩かれれば痛いから泣きます。

    娘にしてみれば、パパママとお話していただけなのに、いきなり叩かれたって感じでしょう。

    ・・・これはきつい。

    ごめんよ、娘。

    そんな失敗は二度としたくない思いで、ママはこんな時はどんな言い方が良いのかと、先生に多数の質問をぶつけていました。

    先生もひとつひとつ、明快な答えを出したり、一緒にう~んと唸りながら考えて、二人で答えを絞りだしたりしています。

    そんな会話術の質疑応答をしているうちに1時間はあっという間に過ぎてしまいました。

    なんと、用意された項目の10分の1も消化できていません。

    臨床心理士
    では残りは次回ですね。予定を決めましょう

    パパ
    すみませんでした。全然進んでいないですよね

    臨床心理士
    あぁ、良いですよ。せっかく個別でやっているんだから次回も沢山質問してください

    先生、それではたぶん次回もほとんど進みませんよ。

    パパママは、答えを持っている相談相手が今までいなかったのです。

    次回は次回で色々聞いてしまいますよ。

    弟くんの存在により合同勉強会に参加できなかったことにより、こんなに沢山質問ができる充実した勉強会を開いて頂くことになりました。

    相手をしてくれる臨床心理士の先生に感謝。

    そしてきっかけをつくってくれた弟くんに感謝。

    あ、弟くんのことを忘れていたけど大丈夫かな、と振り返ると、

    プラレールの線路を2本握りしめてしくしく泣いていました